ネット古本屋「深夜の鰐」徘徊日記

深夜に読む本、深夜でも読みたい本。 オンライン古本屋『深夜の鰐』の日常と、 本に関するあれこれ。不定期更新。

読書日記

池澤夏樹『知の仕事術』

年相応に眼が悪くなってきて、
昔の活字級数の小さな文庫が読めなくなってきました…

映画と読書、眼鏡のピントをどっち合わせるか、
いつも迷います。
それもあって、最近、野菜ジュースは
ブルーベリーとか入ってるものを選びがちです。
ブルーベリー嫌いなんだけど…
背に腹はノーチェンジ。

閑話休題(それはさておき)。


最近、池澤夏樹さんの新書『知の仕事術』を読みました。
一見、ビジネス指南書風を装った、
池澤さんの粋なエッセイという感じ。
とはいえ、
読書法、本の買い方、処分の仕方、情報の集め方など、
数ページに一回は、
へぇ、なるほど、そうなのか
と、呟いてしまうような良書でした。

札幌市内の書店や古本屋を巡る記述も多々あって、
ああ、どこかで御見かけすることも、ありえなくはないのか
と思ったり。
今年は池澤さんの著書を出来るかぎり読みたいと思っています。
(毎年言ってますが)



【書評】あかんやつら 東映京都撮影所血風録(春日太一 著)

●ヤクザとチャンバラ、熱き映画馬鹿たちの群像!
型破りな錦之介の時代劇から、警察もヤクザも巻き込んだ
「仁義なき戦い」撮影まで。東映の伝説秘話を徹底取材し
たノンフィクション。


東映作品が好きだ。『仮面ライダー』が大好きだった「ま
んがまつり」世代なら、それはほとんど刷り込みに近いもの
がある。しかし、ある時期まで東映といえば「チャンバラと
ヤクザと不良の映画」ばかり、というイメージが根強く、ど
うかすると一段低い評価に甘んじるところがあった。「娯楽
映画で何が悪いのか!」と、つい逆上気味に反論したりする
一方、確かに一理あるかも…と、気落ちしたことも否めない。

東映映画が長らく低調だった時代、東映作品を愛する諸氏
の手によって、良くも悪くもエネルギッシュな、その娯楽映
画としての素晴らしさを説く評論や批評が数々発表され、近
年、再評価されるようになったが、では、その映画を「作っ
てきた人々」はどうだったのか。どう思っていたのか。
事実は小説より奇なり。彼らは映画以上にハチャメチャで
アナーキーで、過剰なまでに映画に対する情熱をみなぎらせ
た「憎めないやつら」だったのである。

十年に及ぶ長期取材、執筆期間三年という労力を費やした
本作は、監督とプロデューサー、脚本、照明、美術、殺陣師
たちの貴重な証言を元に、東映創設から現在に到るまでの栄
枯盛衰の変遷をダイナミックに描き出し、東映京都撮影所の
人々の、知恵と汗と心意気の六十年をギュッと濃縮した、ま
るで「紙のドキュメンタリ映画」のような作品である。
それはまるで大河小説の様にドラマチックかつ刺激的で、
濃厚な面白さを放っている。全編、軽々に読みとばせない、
知られざる事実の連続で、それなりにあちこちで読みかじっ
てきた東映の歴史や撮影のエピソード、それらの断片が頭の
中でパズルのようにつなぎ合わされ、その全体像が立体的に
立ち上がってくる痛快さ。今までの『東映』観のみならず、
「映画観」そのものが大きく変わること必至である。

「まんがまつり」に熱狂した世代もすっかり大人になり、
かつてのヒーロー「仮面ライダー」も平成の世に復活して久
しい。そのシリーズ作品に付された惹句(コピー)には「伝
説は塗り替えるもの」「目覚めろ、その魂」「戦わなければ
生き残れない」…とある。この言葉は、いま「東映」そのも
のにこそ向けられているのではないかと思う。この本の最大
のメッセージもまさにその一点にある。「血湧き肉踊るよう
な映画こそホンモノ」という映画屋魂の復活を、我々は夢み
ているのだ。本書はその夢の序章として、まさに質実痛快・
猛読必冊の好書である。


あかんやつら『あかんやつら 東映京都撮影所血風録』
春日太一 著(文春文庫)
定価:本体1,020円+税
発売日:2016年06月10日
ページ数:544ページ
ISBN :978-4-16-790641-2
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